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第十弐話 【まだまだずっと混沌・・・】

11月 6th, 2014 Posted in 題名の無い連載小説 Tags:

グリーンジャケットに袖を通すのはこの私。
最終日のアーメンコーナーを迎え、首位マッキャローイとは3打差3位T。
1打差2位にはチーター・ウッズ。全盛を過ぎたとは言えオーガスタの申し子はまだ伸ばしてくる。
でもしかし。しかし山登下子は確信していた。勝つ。私は絶対に勝つ。
11番ホワイト・ドッグウッドのティーグラウンドに立った下子の表情には余裕の笑みすら浮かんでいた。
「勝者が羽織るあのグリーンジャケットだって、わざわざ女性用に右前合わせで発注させてるんだから。」

室井三郎。パンドラプラス建設工業へ移動を命じられ早2年。
良くも悪くも変り映えのない日々を送っている。
朝7時出社、夜22時退社。土日もほとんど出社してる。
24時間営業を売りにしてる牛丼屋ですら深夜営業を中止してるこのご時世に、よくもまぁ。。。
大黒島でのデータセンター管理人の頃を思えば、深夜であっても毎日帰宅できることに感謝すらできる。
そんな彼の救いは少ない休日の写真撮影のための町歩きとその整理。
そして、仕事にも趣味のカメラにもまったく無関心な妻の幸子が元気でいてくれることだった。
馬券も好調らしく税務対策にも余念がない。違う意味で三郎よりはるかに忙しそうでもある。

「そういえばボクちゃんがあなたと一度話しがしたいって。」
「え?」
「ボクちゃんよ、私の大嫌いなあのバカ従兄弟。一瞬だけ何ちゃって総理だったあの蜂山雨季夫。」
蜂山雨季夫。元一国の首相だったこの男は妻の幸子の従兄弟にあたる。

「俺になんだって?」
「知らない。」
「ふーん。オレらの結婚式で会ったきりだからもう14~15年か。」
「知らない。」
「・・・。」

「まぁ何だかわからんけど面倒は御免だ。適当に断っといてよ。」
「もう来てるの。」
「え?」
「もう来てるのよ。」
「なにが?だれが?どこに?」
「ボクちゃんの秘書が、ここに、あなたを迎えに。」
「うひょ!」

黒塗りの無駄に大き過ぎる高級車に半ば強制連行されるように三郎は押込まれたのだった。

渡辺は墮否(だいな)の顔を見るなり
「ひっさびさー。」と満面の笑みを浮かべた。
「ご無沙汰してます。」
「茶餓(てぃが)は相変わらず?」
「ええ。こないだG1を200勝目したそうで世界競馬殿堂に表彰されたとか何とか言ってましたが・・・」
「墮(だい)ちゃんも俺も、馬の方はからっきしだもんな。うへへへ。」
世界的天才ジョッキーである粳寅茶餓と渡辺は、中学時代に一瞬だけ同窓だった。それ以来の縁である。

「さて、昔話はまたゆっくりね。今日来てもらったのは仕事。」
「・・・。」
「一部で報道されてるけどうちが外食に進出するのは知ってる?」
「ええ、何となく。」
「そっちはうちの営業のボスが勝手にやることだからどうでもいい。
お願いしたいのは行政筋の話で、とある町で再興モデルを検証したい。
よくある町おこしでも、ゆるキャラ作りでもなく、企業集積型の復活モデルだ。」
「ほぉ。でも私はしがない中小企業の支援ばかりでそんな大それたのは・・・。」
「いや、それが適任だ。さらに墮(だい)ちゃんのポテンシャルをオレは誰よりわかってるつもりだから。」
「いいっすよ、買い被らんで。ってか具体的には・・・」
「うん。室蘭って町の。。。まぁつまり墮ちゃんの兄貴のホームグラウンドのあの室蘭で食品関係から掘り起こしたい。」
「むろらん!?室蘭っすか。あいやぁー。」
「じゃよろしく。」

チャーリーが害吾の伝言を三郎に伝えてからもう2年半。何の音沙汰もない。
風の噂では既に大黒島にもいないというではないか。おいおい。
ウェストりんがストゼリアはこの大黒島の親会社パンドラプラスが買収し、
そもそもラーメン屋の道もへったくれもない。
船の清掃アルバイトもいい加減飽きてしまい、今は地元の老舗ラーメン店「なか王」西口店でバイト。
夜は夜で中嶋の老舗パブ「ブラックハウス」でバーテンもしている。
しかしながら生活には困ってない。
ブラジルで二郎と別れる際に「弟に土産物でも買ってってくれ。」と手渡されたキャッシュカードには
今でも毎月30万ドル入金され続けている。
「あーあ。なんなんすか。こりゃ一体。」
害吾が一人ごちる。

そんな害吾の日課は毎朝地球岬まで観光道路を走ることだ。
(某国営放送の室蘭支局の裏側に暮らしてるらしいです)
坂を上りきるラスト1キロは肺がはち切れんばかりの猛ダッシュをし、白い息を吐き続ける。
そして一息ついて灯台から見下ろす景色に心を洗う。そんなことを繰り返す毎日だ。
時折、坂路調教の一環か!?と蹄の音を響かせ観光道路を走るサラブレッドにすれ違う。
その馬上には長兄の茶餓が。

「あぶねーって。こんな狭い道で調教すんなって。」
いくら言っても茶餓は「そう?」と軽く受け流すだけだ。
そう言えば先日会った際は
「今度、墮否が室蘭に来るって。仕事らしいけど。その際久しぶりに三人で飯でも食おうや。」
なんて言ってたけれどあれはどうなったのだ?

一気に深まる鉛色の空を眺め
「あーあ。なんなんすか。こりゃ一体。」
今日も害吾は一人ごちる。

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第十一話 【まだまだ混沌・・・】

11月 21st, 2013 Posted in 題名の無い連載小説 Tags:

嫌いじゃありませんよぉ~。おーっほっほっほほ。
本来のくるる風のほほ笑みは編集者からも実に不快がられる。
世間への露出が圧倒的に増えた今では、致し方なく「王騎将軍」風の話し方と笑い方に変えた。
(それはそれで不快がられてる)

手動の代名詞「むろランディングBOY」があれよあれよと2000万部を数えたのはもう2年前。
まさかあんな作品が当るとは・・・。
世の中わかりませんねぇ~。おーっほっほっほほ。

しかしながら当ったのは良かったがその後がまったく書けない。
まぁいっか、印税たっぷし入るしね。来年は映画化もされるしね。
と相変わらず煩悶は5分ともたない。
いまは九州某所でのんびりと暮している米乃舞である。

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下子が米PGAツアーへデビューし・・・LPGAじゃなく男子ツアーです・・・
わずか3戦目で衝撃的な優勝を飾ったその年、
室井三郎は青天の霹靂ともいうべき人事異動に見舞われた。
データセンター管理人。とは言えIT系業務の広い裾のから見れば十分立派で重要なポジション。
ところが、ところがであり。いまはもうそのIT系ですらない。

パンドラプラス建設工業。名の通り子会社である。
いまはそこで、まるで畑違いな設計業務から外注との折衝、現場では棟梁の機嫌取り。等等
複数の現場をかけもち何から何まで一人でとりまとめなくてはならない。
「うち(パンドラプラス)みたいな企業で建設とか言ったら普通はあれしょ?ファシリティ構築とかだべさ!!」
と憤ったところで仕方ない。
こんな人事、一体だれの・・・!?

渡兄弟はその後、超暗黒国系企業の諜報活動を行っていたことが判明。
普通なら解雇だろうが、渡辺は横浜にある関係会社の警備員として移動を命じた。
さっさと超暗黒国系企業からも見放された二人は、選択の余地なく横浜は金沢区の某所で
無愛想な警備を行っている。
本来なら三郎が室蘭でのこの二人のポストに返り咲くのが筋だったがなぜかそうはならなかった。

一時室蘭代表代理に命ぜられた同期の山本が三郎を小公園わきの「わらったべ」へ誘い出し
乾杯もそこそこに山本は「室井、次のどれかかを選んでくれ」と唐突に切り出した。

A・パンドラプラス建設工業へ出向
B・パンドラプラス特殊機械メンテナンスへ転籍
C・下子が主催する宗教法人「あいあい」(奈良県山奥)での修行信者たちの宿泊用ロッジの管理人に就職斡旋。

「さぁどれ?」せっつく山本。
言葉を失う三郎。
「どれ?って・・・・なにさ?何がどれなのさ?」
「だからどれかだよ」
「やー、したって・・・」
「したって、でなくて」
「もぉー」
「もぉーでも何でも」
「ヤダ」
「ヤか?」
「ヤダ」
「そうか、じゃあAで決まり。」
「えー(A)」

ということでこの子会社に決定した。うそぉ・・・。マジかい?

「実は渡辺さんからは『どれも選ばなかったらAでいいから』って言われてたから」
「でも辞めさせろだなんて話は一切なくて、とにかく『室井はいつか必ずこの会社の窮地を救う男になる』ってそればっか」
「じゃあ自分で伝えろよってんだよな。。。って言うかCって実質クビだべさ?」
山本は何も答えず、ただ黙々とハイボールとホッピーといいちこと男山を混ぜ混ぜしては一気に呑んでいた。

「・・・。」
終始無言の三郎。

「エビアンは大丈夫なのか?」
「蝦・・・ああ、こないだパンドラプラス総合医療研究所記念病院へ見舞いに行ったら意外と元気だった」
「歯茎は見えてたか?」
「ああ・・・はは」
この夜二人は初めて笑みをこぼした。
「俺もいまじゃ資格上では等儘の下だよ」山本が一人ごちた。
「チャーリー・・・か。まぁそれに相応しい活躍だからな。」

チャーリーは「LiKypePoPo」(VoIP)プロジェクトの大成功で一気に執行役員にまで昇りつめた。
しかしながら正規雇用の道は選ばずあくまで派遣社員の立場を貫いている。
MITからの声掛けさえ袖にふり、なぜか室蘭にとどまっている。
そしてそのチャーリーの元上司である蝦安は相変わらず室蘭界隈で飲み歩きとうとう肝臓を壊して入院したのだ。

「まぁ色々あるわな」
「ああ」
「そう言えば幸子ちゃんは元気か?」
「・・・。」
「どうした?最近会ってないのか?」
「会ってる、っていうかたまに見るくらいだわ。」
「おいおい、まさか離婚とかはねーんだろ?」
「いんやー、お崖様でそれはないわね。ただ忙し過ぎて出がけと寝る前に「寝顔」を見てるだけってことだ」
「そうか。建設はそんなに大変なのか?」
「まぁな・・・・。まさか中学レベルの数学をこの年で一から復習するとは夢にも思ってなかった」
「あちゃ・・・」
「まぁいい、今日は呑もう。久々に」
「ああ、そうしたのは山々だがそうもいかないんだわ。明日も早くから現場で打合せだしね。」
「。。。まぁ頑張れ。いまは渡辺さんの言葉を信じる他あるまい。」
「うん。」

「そう言やも妙な噂が流れてる。」
「?」
「上層もごく一部で留めてるようだが、どうやらうちは外食にも手を出すらしい。」
「外食?まさか日本シャフト・・・っじゃなくって日本(ひのもと)専務の画策とか?」
「恐らくな」
「あいたたたた」
「手始めに「ウェストりんがストゼリア」を買収するらしい」
「はぁー!?」
「いや、あくまで噂だけどな」
「それってアレだべ?世界に2500店舗だか展開してるってあのちゃんぽんの?」
「ああ、たぶんそんな感じ。意外と詳しいんだな?」
「それってつまり・・・あれだべや。うちの兄貴(二郎)がオーナーやってる店だもの。」
「あ・・・ああ、そうか。ははは。あそこはお前の兄さんが始めたんだったっけ?
 ははは。そうだそうだ。そういうことだー!わーい!!」

ったく・・・一体何がどうなってやがる。自分の勤め先は俺をここまで振りまわして
挙句、二郎にいさんのちゃんぽん屋買収だ?おいおいおい・・・・。わけがわからんぞ。

「そうだ。そう言えば幸子ちゃんって、確か”蜂山”の家の人じゃなかったか?」
「ああ、そう。あの変人の元”蜂山”総理とは従兄だか何だからしいけど偉く毛嫌いしてるよ」
「先だって渡辺さんの代理で札経同協(札幌経済同盟的協議会)の会合に出たらその蜂山さんが
『シベリア鉄道を稚内まで延伸させよう!』
だなんてぶちあげてたよ。なんだありゃ?」
「なんなんだかねー。ついこないだ新幹線が通ったばっかしで。」
「いまの塩梅(あんばい)内閣も、彼の発言にはかなりピリピリしてるみたいだ。」
「だろうなー。わけわからんもんね。常識で図っちゃ誤るわね、ああいう人は。」
「けど彼が内閣当時の「「保険料と税を無駄にはしません」計画」は確かに効果があった・・・」
「うん。確かに。いまじゃこの国中、高齢者が目の色変えて働いてるもんな。」
「でもそれっていいんだか悪いんだか・・・。そうだ。新幹線と言えば下子さんの働きかけで
日本海周りの計画が強引に函館本線周りになったんだったな。」
「ああ、いまじゃ東室蘭駅は別名「パンドラプラス室蘭事業所前」だもん。ははは」
「新幹線もあの人にかかれば単なる通勤電車か。ははは。」
「ははは」「ははは」
「でも肝心の乗客は開業当初こそ数カ月待ちとかだったらしいが、今じゃ乗車率10%かそこらだって言うぞ。」
「んはははは。そりゃそうだべさ。ああいうのは作ることに一時的にお金使うことが目的で
その後のことは誰も興味ないの」
「ははは」
「ははは」

「ったく。ほんと何がなんだか。一体どうなってくんだ?北海道は?」
「北海道も、ってか日本が・・・な。」

海の向こうではまもなくマスターズが開幕する。
山登下子は世界初女性プレーヤーとしてオーガスタを周ることになる。
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第十回 【混沌・・・】

3月 24th, 2012 Posted in 題名の無い連載小説 Tags:

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超暗黒国が襲来
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渡辺が自社のタブレット・・・ではなく、敵対関係にある”bv”(bvはブランド名、社名はLEEH)の
最新タブレットをぼんやり眺めてたらツィートが呟いた。
「おーい、下子様はその後どこ行っちゃったんだよー!お、それよりこんな記事が出てるぞ。大変だなー。じゃあな!」

なんて軽い・・・
これでもパンドラプラスでは五指に入ると言われるキレ者、営業統括本部長の日本軸(ひのもとじく)である。
周囲からは「にほんシャフト」と愛称で呼ばれているなかなか人望のある経営陣の一人だ。

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超暗黒国の複数の都市で当局が家電店などに対し、日本パンドラプラスのタブレット型端末「愛・・・」の販売停止を命じた。
愛・・・の商標権を所有していると言い掛かりをつける超暗黒国企業の訴えを受けた措置。XX日付の国民一報が報じた。

それによると、xxxを拠点とするパラポロプニペパ社は当局に対し、商標心外(侵害じゃないからね)のように感じたから、
という「感覚」だけを理由に真夏州のほうれん荘など複数の都市で愛・・・の撤去を要請した。らしい。

同報道の内容については、まだ誰もどこのコメントもとれておらずそもそもこの報道もガセなんじゃないか。

現地紙の真夏都市伝説が昨年報じたところでは、パラポロプニペパ社は愛。。。の商標について、
西暦645年には超暗黒国を含む複数の国で正式に登録済みだ、と言い掛かりをつけているという。

また、パラポロプニペパ社はパンドラプラス社に対し、商標権心外(侵害じゃないからね)で1京黒(10万黒=約1円)の
損害賠償を求める訴訟を起こすからな!と報じていた。
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ううむ・・・・渡辺は眉間にしわを寄せて唸った。
「ったく、かったりー野郎どもだ、何なんだこいつらは。」
下子さまのいない時に、こりゃまた困ったもんだなー。とほほ
などと呟いたような呟いてないような。

それにしても始球式は素晴らしかった。下子さまは140km後半のストレートをアウトローにびしっと決めた。
いやはや恐るべし。壮観だった。
スタジアムはどよめき、横で見ていたプロの先発ピッチャーの、あのばつの悪そうな顔と言ったら・・・・

 

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人口減少社会の到来を見据えて
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室蘭はまだ全然良い方なんだろう・・・そお思う。
各地の過疎化はものすごい勢いだと言う。だまっていても20XX年代には8000万人にまで減るこの日本が、
みな何を思ったか、あちこちの国への移住が進んでいるのだ言う。
移住だけではなく、失踪者が激増して身元不明者の数は4000万人にのぼるそうだ。(ほぼ半分かい!)
つまり、今この国で身元が明確で且つこの国土で生活している”はず”、の人は、6500万人・・・ってか。
すげー。
室井はそお思う。凄過ぎる。もう一度そお思う。いや何度でも思うし思わざるを得ない。
だってだってだって。だって減り過ぎでしょ。

ううむ・・・なんてこったい。室井は煩悶する。
パンドラプラスのデータセンター世話人として、地味ながらもあと25年も勤めたら無事に退職金ももらえて・・・
ん?もらえるの?ほんとに?なんで?その保証は?
本当にそれまでこの会社ってあるの?ほんとか?誰がそれを保証してくれる?

とか何とか煩悶を繰り返しつつ、相変わらずデータセンターの地下深くで発泡酒を呑んでいた。

室井はふと決心する。
こんな人口減少に歯止めをかけるには至らずとも、俺の生きてる間はもっとがっつり楽しんでやるさ、
でもそのためには・・・俺は本当に寂しがり屋だもん・・・周囲の人がそれなりに居てくれなきゃ。
せめて、せめて室蘭くらいは活気づいててほしいじゃん。

というわけで
「市長にでもなっちまうか・・・うん。決まった。んあー」
新たな進路はそうして決まった。

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社会保障制度大改革の嵐
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現政権の蜂山内閣がぶちあげた「保険料と税を無駄にはしません」計画の施策が着々と進展している。

 年金保険料負担者は、それが誰(年金受給者)に紐づいていて、
どんな高齢者の生活を支えてるかを監査できる権利を有する
という、目から鱗というか、ちょっとやりきれない法律が閣議決定された。
保険料未納対策の一環として、特に納付率の低い若年世代の不満の矛先をかわすのが狙いらしい。
若者は口々に言う・・・「なして、俺らが年寄りのために給料の【7割】も社会保険さ、とられちまうのだ!!」と。
こんな憤りに、紐づいている人(保険料負担者)の過半数が賛同すると強制的に保険料は減額されてしまうという。
いやはや、それは辛いっす。

一方で、生活保護受給者においても同様で、個々の負担がどう配分されて、どんな人達の生活を保障しているのか
やはり監視して知る権利を有する、という、まぁなんてお先真っ暗で世知辛い制度なのだろうか。
ちなみに監視の結果、
「働こうと思いさえすれば全然働けるこの人の保障を、なして俺らが負担するのさ!」
という憤りに、紐づいている人(納税者)の過半数が賛同すると強制的に保障はなくなってしまう

という、ああ・・・・恐ろしい監視社会だ。

室井はふと決心する。
「ふぅむ・・・市長ごときじゃダメか・・・国政にうってでねーとこんな世知辛い社会は変えられないもんね。」と。

というわけで新たな進路は数時間後には更新され、そういうことで納得した。

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驚異の回収率!
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「させー!!!」「させー!!!」
芦毛のメンコイインパクトが大外を回して豪快に差し切ったその瞬間、幸子は激しくガッツポーズを決めた。
「っしゃーーー!!!」
やや固い決着の馬券だったとは言え、大本命で70万あまりの払い戻しを受け取った。
「ふぅ・・・今日も茶餓(てぃが)は期待に応えてくれた。OK。いいぞ!茶餓!!」

幸子は無類の馬券好きである。回収率は趣味の域を超えており、室井の年収を遥かに上回っている。
平均アベレージで資本回転は6000%とからしいから、すげー。

幼少の頃、祖母がよく話してくれた。
「昔、室蘭に競馬場があったのさ。で、私の父は馬主でさ。
持ち馬にフタバヤマってとんでもなく強いのが一頭いて69連勝もしたのさ・・・・」
そんな時の祖母はいつも遠い目をしていた。

幸子もそんな血を引いたのか、無類の馬券好きである。
ちなみに夫の三郎も幸子のそんな趣味のことは知っている。
が、室蘭へ転勤してきて以降、死ぬほど忙しく、やっと一段落した矢先に大黒島へ島流し。
データセンターの世話人仕事は、月に一日の帰宅しか許されておらず(幽閉か)
幸子に逃げられるくらいなら好きな馬券でも何でもやってもうらおうと思って、何も咎めたりはしない。

現在の北海道の知事は、堂垣外(どうがきがい)という。
現在二期目のこの知事は「愛溢れる北海道。自然とギャンブルの共生。」を掲げ支持率は常に85%を超える。

この知事の施策の一つが道内各地の競馬場の復活だった。
室蘭、函館、帯広、旭川、釧路、遠軽、稚内、etc・・・・
今では全道に20の競馬場と、公営カジノも4つを数える。

室蘭でも競馬場の他、ドッグレースとオートレースとパチンコ屋が、工場群を取り囲むようにひしめいている。
「稼いだらさっさとパーっと使いましょう!」とは、経済浮揚を企むこの知事の持論である。

幸子は明日のレースの新聞を買って、場内の屋台でおでんと串カツをつまみにYEBISUできゅっと祝杯だ。
「ああ、明日は中央との交流レースね。」
レースの冠は「フタバヤマ記念」。賞金のスポンサーには幸子の実家である”蜂山”が協賛している。
見ようと思えば馬主席にも入れる幸子だが、そういうことは絶対にしない。
「競馬は打つもんであって、馬をもつなんて興味なし!」が持論だ。

明日の「フタバヤマ記念」の馬柱に、ぐりぐりの二重丸が付されているのは中央の大将格
コンパクトコンタクトインパクト
である。(馬名の9文字制限は国際化に反するとのことで撤廃されている)

「一本被りね・・・・」
直線が200mの室蘭競馬場で、あの脚が活きるのか?

茶餓は全国すべての地方競馬を通じて、3年連続でリーディングを取得している天才ジョッキーである。
3人兄弟の長男であり、父は映画脚本家。末の弟は世界を放浪中で今はブラジルあたりのはずだった。
室蘭には中学の頃、転校してきて、以来ずっと室蘭で暮らす。
母校の輪恋水中学には毎月乗馬を教えに顔を出している。
中央からのランセンス発給を度々うけながらも断り続け「生涯一地方ジョッキー」を貫いている。
「茶餓はどう乗るかしら・・・イタンキノカガヤキに」
明日の「フタバヤマ記念」で茶餓が騎乗するのはその名もイタンキノカガヤキ。現在4連勝中の上がり馬だ。
ダート・芝兼用で・・・・室蘭競馬場は函館、札幌に次ぎ芝もある競馬場・・・・先行も苦にしない。
柔軟なバランスと、並んでからの闘志が、何より優れたサラブレッドの証だ。

「茶餓とイタンキなら何とかしてくれそう・・・複勝を50万とコンパクトのワイドを50万ってところかしら」
幸子の勝負師としての目が輝いた。
(データセンターで濁った眼をしている亭主とは雲泥の差ですね)

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来年は男子ツアー・・・!?
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月清食品オープンの最終日。
6イーグル、6ダボのパープレーでおしくも下子は6位タイフィニッシュにとどまった。
「うう・・・」
「ショットは好調だったけどアプローチがイケてなかったな。けっ」

ドライビングディスタンスは軽く320ヤードを超え、っておいおいおい。
米PGAだってそうそうお目にかからんぞ的な飛距離を誇る。
持ち球はパワーフェイドで一瞬左に向かうと見せかけてぐぐぐぐっと右に戻るあの「曲り」が心地よかった。

この春、国内デビューして既に2勝。賞金ランキングは韓国のアンポンジョンと激しく首位を競り合っていた。

早い話がプロライセンスは金で買った。
ライセンス発給元の両協会のおえらどころは何れもパンドラプラスの取引先企業の顧問や会長職であり、
そして、政府の諮問機関である「未来ITいる?いらない?審議会」のメンバー同士でもあり既に知り合いでもあった。
仕事を複雑に循環させ、それら顧問企業に発注し、おえらどころさんどもは大喜び。
大人って汚ねぇ!

造作も無く発給されたライセンスに一瞬批難の声が上がりかけたが、公的なマスコミについては予め手をまわしてあった
(この辺は、すべて渡辺の役どころね?)
ウェブでわいわいがやがや言われるのも全然平気。
所詮、批難ですらいつしか最終的には「愛あふれる・・・」に感染することになり
皆、下子を愛さざるを得ないという、もうまったくもって手のつけられない、ほとほと困った女だぜ。
でへへへ

来年は海外にうってでる。
パンドラプラスをここまでにした、とは言え、下子はまだ43歳でしかない。
一見、見る人が見れば年増にも見えるだろうが、見る人が見れば女優の松島田菜々絵にも見える。

それにしても・・・・思う。
パンドラプラス創業23年。アパートの片隅の部屋からのスタートアップだった。
今では従業員80名を数え(えー!たったの?)
/**だから役員クラスで課長級という蝦安のような(かつての室井のような)社員ばかりなわけです**/

ただし、契約社員、協力会社諸々、この企業の稼ぎで生計を立てている関係者は7万人を超える大企業である。
そして、何よりの驚愕は「非上場」であることだ(すげー!)。
株式の99%を保有する下子、1%は渡辺に持たせている。
企業の実態もろくに知らない連中が「金のなる木」くらいにしか株式を動かさない、そんな価値感が嫌いだった。
作ったのも私、だから潰す時も私一人が決めるの・・・
代表をおりた下子だが、その決意は今も変らない。
年間売上高3兆円を超える企業を育て上げた女の固い決意である。

来年は海外にうってでる。
それもただ海外、ではない。挑む先は男子ツアーだ。
待ってろ!マッキャローイ、ドニャルド、チーター・ウッズ。

—————————–
超暗黒国が襲来はどうなった!?
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パラポロプニペパ社の経営陣が債務超過と詐欺ペテンで超暗黒国当局に拘束されたのは、わずか数日後だった。
(おいおい・・・)

ううむ・・・・渡辺は眉間にしわを寄せて唸った。
「ったく、かったりー野郎どもだ、何なんだこいつらは。」
しかし、気を緩めることはできない。次はどんな言い掛かりをふっかけてくるかも予想がつかない。

それより気懸りは、渡兄弟の不穏な動きだ。
彼らが超暗黒国の企業と連絡を取り合っているらしいとは内偵からの報告である。
ったく。どいつもこいつも。
「だいたい、あの室井ってのは何だってあんなバカな部下に酒飲ませたんだよ!」
と少々の憤りもあるが、そろそろ「幽閉」から解除するべきか。
渡兄弟の尻尾をつかませるのだ。

「社長・・・うるとら様が面会におこしです。」
「うるとら?」
「はい。うるとら墮否(だいな)様が、社長にお約束があると・・・」
「ああ、墮否か。。。。。わかった。通してくれ。」
そう言って電話を置くと、渡辺は社長室から臨む風景に視線を移した。

視界に入ったその世界は混とんとしていた。

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