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むろランディングBOY誕生(第二話)

7月 22nd, 2010 Posted in 題名の無い連載小説 Tags: ,

「おはようございまーす!」と、朝の挨拶をして、室井三郎の1日が始まった。
そこまで書いて手動は手を止めた。
「きーきききき・・・・」
意味もなくクルル曹長風に笑ってしまう。

手動。手動米乃舞。でどうまいのぶ。
世間に認識されているこの名前は嘘偽りなき本名である。
恐らく大半の読者はペンネームくらいにしか思っていないのであろう。

それにしても、でどう、でどうまいのぶって….。
どうなんだろう、こんな名前って。

幼少の頃から幾度となく思ってきた、この名前の奇妙さだが
そんな疑問もせいぜい5分かそこら考えると
「べつにいーか、誰に迷惑かけるわけじゃなし」
で終わる。
これは名前に限ったことではなく、手動にとって大抵のことは「5分」でタイムアウトするのだ。
諦めが早い。良いのか悪いのかはわからない。
とにかく5分しか悩んでいられないのだ。

それにしても手動。
しゅどう?マニュアル?
つまり手が動く、ってか?
おいおい・・・・冗談じゃないって。

物書きを生業にしてまだほんの2年。
でも手はまったく動かず筆は進まない。
実績はおろか図抜けた才能など微塵も感ぜられない手動だからこそ、がりがりがつがつと量を書くべきだろう。
手動自身、そのことはよくわかっている。
でも書けない。
「なぜ書けないのだー」と、やはり5分も考えればそこで終わってしまう。
「まぁ、いっか・・・」

他人が見れば明らかな転身ミスであろう。
以前は鉄鋼系機械メーカーに勤務していた。
でもいいのだ。とりあえず好きだし。
「もの書きやってるっす」
と言い切れるそんな自分が大好きなのだ。
そう、手動はナルシスくんなのだ。
きーきききき・・・・
と再びクルル曹長のように笑ってしまう手動。

これからは電子書籍が流行るらしい、とは知人の松玉宏松の一言だった。
一瞬心が動いた。
でもすぐに気付いた。
書籍で売れてない自分がなぜに電子書籍なら売れるのだ!と。
やっぱ紙、紙。やっぱ文芸春秋あたりにどっかーんと連載してみたいじゃん!ねぇ?
って。

そんな不純な、いやある意味で純粋すぎる自分が大好きな手動、
まぁとにかく、そんな不埒な間の抜けた思いから着想した「室井三郎シリーズ」。
今度こそ、きっかけをつかもう。自信がある。何だかわからないけど今度はいけるぞ。

主人公である三郎のキャラクターはごく自然にイメージできあがっていた。
とにかく「うじうじしたやつ」。ここだけは譲れない。(なんでだ!)
けれどその先が続かない。
続かないどころか、そもそもこの小説のタイトルすら浮かんでないではないか。
あらあら。
でもきっとまた5分も考えれば「何か浮かぶんじゃねーのー」と舐め切る手動である。

しかし、そんな彼の舐め切りから生まれた「三郎」という架空の男が
まさか、そお遠くない将来にあんな空前絶後の惨劇を自らにもたらすなどとは
もちろん知る由もない手動であった。

おっと。タイトルが閃いたぞ。
むろランディングBOY。
我が故郷、室蘭にランディング(着地・着陸)した「うじうじした」男の物語。
うん、これでいいだろう。(意味わかんねーけど)

きーきききき・・・・
再び手動は笑いを漏らした。

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